大学入試共通テストを解いてみました(リーディング編)

この週末に行われた、大学入試共通テスト。受験生のみなさん、お疲れさまでした。受験指導に携わっている皆様、受験生のご家族の皆様もお疲れさまでした。今年は試験対策に加えて感染対策にも気を配らなければならず、勉強面以外のことにも多くの労力を費やされていることと思います。待ち望んでいる未来のために、あと少し、がんばってください!!

さて、センター試験に代わるものとして今年度から始まったこの「共通テスト」ですが、英語は「リーディング100点(80分)」「リスニング100点(60分)」という形で実施されました。

今回はリーディングに限ってお話しますが、まず感じたのは文章の多さです。第1問~第6問まですべて読解。内容としてはテキストメッセージのやり取りだったり、ウェブサイトからの読み取りだったり、プレゼン資料づくりだったりと、多岐にわたっていました。そして、すべての設問にいわゆる「文章を読んで各問いに答えなさい」というのではなく、「あなたは○○をするために~(メール、文章など)を読んでいます」などという形で場面設定の説明が英語で書かれているところが新鮮でした。この一言があるだけで、英文を読む「目的」が明確になり文章がとっつきやすいものになっているかもしれませんが、受験生にはそんな余裕はナイかもしれませんね。でも、これは文章が無味乾燥なものではなくなる良い変化だと思います。

形式としては「図表を見ながら解く」「2つ以上の文章から判断する」などTOEICのPart7を彷彿とさせるものが多く、民間試験を導入しようとしていただけあるな、という感じがしました。あと、「事実を選びなさい」「意見を選びなさい」と太字つきで書かれている問題もあり、これらに関しては英語力以前に国語力と感じました。

ひと通り解答してみて一番感じたのは、表現の言いかえの多さでした。同じ内容を別の表現で言いかえていることに気づけるかどうか、が問われる力の1つのように感じました。また、英文量は膨大でしたが、資料作成の問題などは読み飛ばせる部分も多く、必要な情報を速やかに読み取れるかどうかも鍵になると感じました。

これってやっぱりTOEICPart7ですね。「試験対策」ということだけを考えれば、パターンをつかむために問題演習を重ねることで対応できそうです。ただ「表現の言いかえ」に関しては、普段から別の表現を考えてみたり、英文を自分なりに要約する練習をすることで語彙力UPが期待でき、やり方によってはスピーキング力、ライティング力も伸ばせそうです。

英文自体はそれほど複雑な感じはしませんでした。基本に忠実に「誰(何)がどうした」を押さえながら読むこと、登場人物が複数いる時にはそれぞれの動きを見失わないこと、時制や時を表す言葉に注意して出来事が起こった順番を早とちりせずにつかむことが大切だと感じました。

最後に。自戒を込めて。

今回の試験内容が国が求めている英語力だとすれば、高校での英語学習はより実践的なものでなければならないと思います。私が現在講師として使用している「コミュニケーション英語」の教科書では、様々な人物や出来事について読み、単語を学び、内容理解のための設問に答え、文法を学ぶ形式になっていますが、それはレッスンの第1歩目でしかないのだと感じます。そこから例えばプレゼン資料を作ったり、文章のリライトをしたり、関連する資料も調べてもっと大きなプロジェクトとして取り組むことができれば、今回の共通テストのような問題につなげることができるのだと思います。(すでにこのような授業を実践している学校も多くあるとは思います)

そして今回の共通テストの場面設定のように『目的があるから英語を読む』ということは、『そのためには言語知識が必要⇒単語や文法を勉強・発表するために発音をチェック』という流れにつながり、それは言語学習としてとても自然な流れだと思います。大人の英語学習で言えば、『海外のドラマを字幕なしで理解したい⇒リスニング練習・良く使われる表現を学習⇒土台となる言語知識(単語・文法・発音)が足りなければ補う』ということですよね。目的意識、大事です。

それをふまえると、中学校までで英語の言語としての機能(文法・構文)と基礎知識(単語・発音)をしっかり身につけ、高校では幅広い題材を英語「で」学ぶ。その中でさらに知識を深めていく。そんなことが理想に思えます。でも、現実的にはそれがどのくらいの学校で実現可能なのか、気になります。どうしたって時間が足りない。個々の英語力や英語・異文化への興味によって充実度も変わりそうです。正解が1つではなくなること、言語としての正確さと十分に内容を伝えることの兼ね合いに対する寛容さも必要なのではないかと思います。学習者も指導者も。

「試験のための英語学習」というくくりはなかなか外せないものだと思いますが、英語で書かれた情報をつかみに行くこと、自分の英語をアウトプットをすることを楽しめるような、そんな高校生が増えるようにモチベーション面、指導面での工夫を凝らしていきたい、と思いました。

英語を勉強中の大人のみなさんには「試験」と思わず気楽にトライしてみることをおススメします!様々な場面で英語での情報処理をするチャンスです!

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