英語の学び方は先生やコーチによって強調することが違っています。
それは当たり前の話で、みなさん、自分にとって効果があったこと、自分が実践してきたことを伝えようとするからです。また、学習者さんの年齢(大人か子供か)や環境、目的によっても学習法は異なってきます。
私の場合は、洋画が好き、洋楽が好き、というのでもなく、帰国子女でも海外在住経験が長いわけでもなく、特定の文化に思い入れがあるわけでもありません。
単に、英語という言語そのものが好きで、英語ができることで理解できることが増え、コミュニケーションを図れる人が増え、日本語とは違ったものの見方ができることを面白いと考えている人です。
そしていつも「言葉の深掘り」とか「ニュアンス」とか「感覚」ということに興味が向いていて、そのような書籍やセミナーで得た知見をお仕事に活かしています。
そんな私にとってこちらの本は、困った時にはいつでも戻って確認したいと思える、辞典のような1冊です。
『英文法は絵に描きやすいルールでできている』
(オールライト千栄美著・明日香出版社)
英語ネイティブの方がどんな気持ちでその言葉を選んでいるのか、どんなものの見方をしているのか、その文法表現に込められている思いは何なのか、ということについて、言語コンサルタント/英語講師の千栄美さんが、たくさんの例文と直筆のイラストを使って解説されています。私は過去に何度か千栄美さんのセミナーを受講していますが、その内容がギュギュギューっと詰まっていて復習になりましたし、新たに学べたこともたくさんありました。
この本は、英語構文や文法の知識を丸暗記で身につけたために受験終了と同時に解放されて知識が抜け落ちてしまったものの、今、もう一度英語をやり直そうとしている大人の方に読んでもらいたい!
「そういうことだったのか!」と言いたくなり、これまで多くの時間をかけて身につけたものがイキイキと蘇ってくるはず。
現役の高校生も、教科書や文法書で学ぶ知識を別の角度から見ることができ、結果的に英語というものがすごく腑に落ちると思う。勉強が楽しくなると思う。
「英語は(環境的に)自然に身につけた」「感覚で理解している」と感じている英語講師・コーチのみなさんにもぜひ読んでもらいたい!
「だって、そういうものだから」と言いたくなる部分が、見事なまでに日本語で言語化されているので、生徒さんへの説明にもきっと役立つはず。
特に言語感覚に優れた生徒さんにはきっと「英語って面白い!」って思ってもらえて、そのような生徒さんが感じやすい英語のモヤモヤが晴れて、学習へのモチベーションも上がると思う!
要所要所にある全体図やまとめが、頭の中を整理するのにとても便利です。
日本人がミスをしやすい表現もその理由とともに学べるから、次から納得して使えるようになります。
自分で1から言葉を紡ぐ時に、気持ちを適切に表してくれる言葉選びができるようになると思います。
(それとペラペラ話せる、は別の話です)
見聞きした英語(相手の言葉でも記事でもなんでも)に込められた発信者の気持ちや目線を感じられるようになると思います。
(それとスラスラ読める、聴けるは別の話です)
「読めば英語がペラペラになる本ではありません」って最初の最初に書いてあるのですが、私はこの本は英語トレーニングの前、またはトレーニングしながら読むのが良いと思います。きっともっと英語が知りたくなると思います。目にする英語、耳にする英語に「心」を感じられると思います。
日本語と英語の違いを知ることで見えてくるものはたくさんあります。
視点の違い、思考の違い、文化の違いなどなど。だから英語って面白い。
言葉の違いは、日本語が十分に理解できる大人だからこそ感じられるものです。
この本にハマる大人の英語学習者さんは、きっとたくさんいるはず!ぜひ一度読んで見てください。